2017年4月6日木曜日

【ショートストーリー】僕の名前は…~欠けた月と砂漠の都で







少年は砂漠の町に住んでいた。


その町を牛耳っていたのはある豪族だった。
金にものをいわせ、砂漠の町の水を支配していたのだ。彼に逆らうことは、すなわち生活から水を奪われるということだ。

上級職と下級職の格差は増すばかりで、下級のものの中には奴隷さながらの生活を送っている者もいた。


少年は、愛する母親のもと2人で暮らしていた。
日々生活するため少年は仕事をしていた。壊れた機械製品の修理である。給料は高くないし、雇い主の気性は荒いが、仕事は性に合っていた。



ある日、少年は同い年くらいの少年を町で見つける。子どもの少ない町である。なので、同い年くらいの子どもを見かけるのは珍しいものだが、声を描けることはできなかった。

彼はしきりに辺りを警戒していたのだ。

ただならぬ気配に気圧されたのだ。
遠目に見ていると彼は店の人間の目を盗み、さらには並んでいるパンを奪い、瞬く間に雑踏に消えてしまった。



それから1ヶ月ほどが過ぎた。

少年は再び彼を町で見かけた。
彼は先日とうって代わり一心不乱に、たった一点を見つめていた。

視線の先には豪族の男がいた。
その横には、少女がいた。

男が"買った"少女である、ということは一目見て明らかであった。

彼はその様子を空虚な目で見つめていた。
少し肩を震わせているようにも見えた。


翌日、再び彼を見かけたとき、彼はパンではなく剣を抱えていた。

豪族の男の家へと続く坂道を、身体の大きさに似合わぬ剣を引き摺り上っていた。
背中には業を背負っているかのようであった。



ある日町の人間が口々に話しているのを耳にした。
豪族の男が殺されたという。犯人はまだ見つかっていないらしい。

その事件の少し前に店から剣が盗まれていたことを知るのは店主と少年のみである。
あの少女はどうなってしまったのだろう、あの少年はどこに消えてしまったのだろう。少年には知る由がなかった。



欠けた月の下、参列者は町の人間たちが黒いベールを身に纏っていた。弔いの列であるはずだが、悲しむ声は聞こえてこない。

豪族の男はいなくなったが、不完全なこの世界を誰かが、描き足してくれるなんてことはない。
自分自身の力で生きていかなければいけないのだ。



ある日、店に客が訪れた。他の星から来た人間が店を訪れるのは珍しい。ローブを纏った男が2人と、美しい女性である。忍ぶようにしているが、一目見て少年は心惹かれた。

彼らは宇宙船が故障して交換用の部品を探しているという。

パーツを見繕ってやり、珍しい客人を家に招くことになった。間もなく砂嵐がやってくるのだ。

「私の名前はパドメ、君の名前は?」

美しい女性は少年に尋ねた。



「僕の名前はアナキン。アナキン・スカイウォーカーさ」







☆ショートストーリー

  1. 【ショートストーリー】株式会社ポルノグラフィティ新入社員の岡野くん
  2. 【ショートストーリー】Part time love affair









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2017年4月5日水曜日

ポルノ全シングルレビュー 4th「サウダージ」








ポルノグラフィティ全シングルレビュー第4弾である。

4thシングルはポルノグラフィティの最大のヒット曲、代名詞ともいえるシングルだ。

以前別の記事でも書いたのだが、ジャケットの意味が全く分からない。


ポルノグラフィティ 「サウダージ」



1. サウダージ



もはや、言わずもがなではないだろうか。

今でも「カラオケ人気ソングTOP100」みたいなのがあれば必ずランクインしているほどのメジャー曲。それにしてもこれを歌いこなせる人が何人いることだろうか。


語れることが多過ぎて何から取っつけばいいのか分からない。

ミリオンヒットを記録し「ポルノグラフィティ=ラテン」をイメージ付けた最大の要因となった曲である。
この段階で完全に「アポロの一発屋」のイメージは払拭されただろう。


2000年前後の本間さんは何かが乗り移ってたんじゃないかというくらい、とんでもない曲を創り続けてた。
そんな本間さんの1つの到達点ともいえる曲だろう。


キャッチーでありながら決して簡単に口ずさめないバランス感覚。キャッチーと深さは反比例しやすいのに、全くそんなことない。


そしてそんな曲に、晴一さんの歌詞もここでもう一段階昇華したように思う。

曲が呼んだ歌詞だったとしても、それまでの曲の歌詞からは明らかに一線を画している。それは"成熟"が感じられるからだ。もっと噛み砕くと"大人"ということだ。


"アポロ"と"ヒトリノ夜 は若者らしい青さも秘めている。どちらかといえば若者の方が歌詞に共感を抱きやすいだろう。
そして夏らしい"ミュージック・アワー"がきて、そこからの"サウダージ"である。大人度が一気に増した。


歌詞についてはポルノファンのねこまつさんががっつり書いているのでそちらをどうぞ。ぐうの音もでないほど素晴らしい記事です。

『サウダージ』についてもう一回本気出して考えてみた・リベンジ!(前編)-ポルねこ


もう歌詞で書くこと僕には何もありません。


ポルノグラフィティの魅力をこれほど的確に射止めた曲はないだろう。


秋の曲というイメージの"サウダージ"だが、イベントで初披露された時には"サウダージ~朱夏~"というサブタイトルが付いていた。
それを踏まえると、歌詞の見え方も少し変わってこないだろうか。

しゅ‐か【朱夏】
《五行思想で、赤色を夏に配するところから》夏の異称。
-goo辞書より




2. 見つめている



問題作である。ミリオンヒットの曲の次にくるのがこれである。
繰り返す、これである。


ビーチサンダルを履いた指に挟まる砂のように
まとわりついて 離れない 離れないぞ


完全に犯罪者である。
特に2回目の「離れないぞ」の恐怖はヤバい。絶対「君が死んで僕も死んで、この愛は永遠になる」とか言い出すやつだ。

この曲はとんでもない歪なバランスと倒錯の上に成り立っている。


まずこの歌詞を岡野昭仁という人間が書いたということを念頭に起きたい。


Base Ball Bearの小出祐介あたりが歌ったならまだ分かるが、学生時代から女に困ったことはないであろう人生を送ってきた彼が書いたのだ。

何をこじらせたのだろうか。


そして、こんな歌詞を岡野昭仁というフィルターを通すことによって、謎の爽快感さえある変態性になっているのだ。

要するにモテてモテて仕方ない人間から出た言葉と思えないくらいドロドロだけど、岡野昭仁が歌うと何故か爽やかになるということである。


でも普通は逮捕である。
良い子は真似しないように。



3. 冷たい手~3年8ヶ月~




1枚のシングルの中で2曲目の失恋ソングである。
しかしながら"サウダージ"とも全く違う恋の消滅を歌った曲だ。


昭仁さんの歌詞の中でも個人的にはかなり好きな部類の曲。2人の具体的な描写はないのに、頭の中に映像の断片が過るような歌詞である。

もっといえば具体的な情景描写がなくても、この曲における2人のトーンや温度が伝わってくる。

僕は昭仁さんの歌詞の特徴の1つに「温度」「熱量」があることだと思う。晴一さんはある意味そこがフラットな目線の歌詞を書くのでそれが対比となって面白い。
昭仁さんの歌詞はやはりヴォーカリストならではという歌詞。


特にこの曲は「手の冷たさ」がそのまま2人の恋愛の熱を表している。他にも


乱れた心拍数 いつからこんな苦しく
耐え難いものになった?


という歌詞など、3年8ヶ月という決して短くない期間の変化と愛の終焉を歌っている。

名曲である。



4. Search the best way




今でも人気が高いカップリングナンバーである。幕張ロマンスポルノではオープニングを飾り、2016年の横浜ロマンスポルノではアンコール終了後にSEとして会場に掛かっていた。

"冷たい手~3年8ヶ月~"と同じ曲であるが、歌詞とアレンジが異なっている。
どちらの歌詞も良かったのでアレンジを変えてどちらも収録されたというエピソードがある。

曲のアレンジについて、"冷たい手"がエレキギターを主体にしたものに対して、こちらはアコギが主体となっている。
特にイントロのリフは思わず弾きたくなってしまうフレーズだろう。


そして、Tamaさんがポルノグラフィティの中で作詞を担当した唯一の曲である。ちなみに1番がTamaさんで、2番は晴一さんが担当している。


「選択」についての曲である。


「自分が選んだ道の先」というのは晴一さんの言葉を引用してこのブログでは何回か書いてきたが、この曲にもその精神が宿っている。

【関連記事】
スロウ・ザ・コイン歌詞解釈~人生の分岐点と正解の道


後に自身の音楽を追求するために脱退するTamaさんが書いた曲と踏まえると、この曲がさらに深くなるのではないかと思う。


ということで4枚目のシングル「サウダージ」について書いてみた。
とにかく濃いシングルなので、聴いたことない方は是非この機会にどうぞ。






ポルノ全シングルレビュー 1st「アポロ」
ポルノ全シングルレビュー 2nd「ヒトリノ夜」
ポルノ全シングルレビュー 3rd「ミュージック・アワー」
【感想】ポルノグラフィティ「THE DAY」
【感想 】ポルノグラフィティ「LiAR/真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ」









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2017年4月4日火曜日

ポルノグラフィティ新藤晴一のカフェイン11レポ 2017.4.3放送分 台湾ライヴお土産話





いつもより生放送。


ポルノグラフィティ新藤晴一のカフェイン11レポ 2017.4.3放送分



オープニングトーク




エイプリール(噛)、エイプリー…(また噛)

ポルノグラフィティ晴一のカフェイン11!!!



都内は桜の満開宣言。

ポルノチームも2〜30人集まってお花見をした。
天気は良かったが桜はまだ3〜5分咲きだった。けど人はたくさんいた。

カフェイン11もう15年目なんだね。長寿番組。


1曲目"今宵、月が見えずとも"



台湾ライヴ1




ツイート:新入社員研修で東京にいるので念願のカフェイレが聴けた
晴一「君は、早よ寝んと」


台湾ライヴの話。

会場のレガシーホールが意外と広くてリキッドルームくらいあった。
晴一さん「新宿リキッドルーム」と言ってたけど恵比寿リキッドルームだね。

海外でやることはとても良い経験になった。


セットリストはシングルが中心だったので組み立て方が難しい。
それはシングルを並べれば良いライヴになるわけでなく、しっかり起承転結をつけなければいけなかった。けど顔見せとしても良いライヴが出来た。


それよりも着いてからずっとプロモーションで分刻みのスケジュールだった。
デビュー当時のようなスケジューリング。

そんな中コーヘーや森男たちがTwitterで「夜市楽しいです」みたいなのが流れていると「このやろう」と思う。

会見で「どうなったら長い間2人でやってこれたのか」と毎回聴かれて返答に困った。
通訳を通すのであんまり「3日に1回殴り合ってます」みたいなウィットに富んだ冗談が言いづらい。

台湾は近いし、観光も沢山あるし、グルメもあるので旅行にとても良い。
たとえば韓国だと周りがハングルばかりなので、分かりづらい。けど台湾だと漢字なので推測しやすい。


2曲目"メリッサ"








台湾ライヴ2





メール:ベストアルバムのようなセットリストで感動した。台湾は初めてだけど、周りの人が優しかった。晴一さんが印象に残ったことは?
晴一:僕は魯肉飯(ルーローハン)が好きなんです。食べに行く時間はなかったけど、会場近くに持ち帰りのがあったら買っておいてくれと頼んだ。そうしたら弁当にも入ってた。

あんまり魯肉飯(ルーローハン)と言っていたらルーローハンを作るセットみたいなのをくれた。
ティーバッグに香辛料などが入っていて何に入れても台湾味になる。

ルーローハンは↓こんなの





メール:2日間参戦。台湾の人も現地で会った日本人のファンもみんな優しかった。
晴一:そういう知り合うキッカケにね。もちろんライヴを楽しむこともだけど、そうやって楽しんでもくれたら。


ツイート:同行者と夜市にも行きました。
晴一:行けたけど、同行者が30人くらいいた。

今浪さんも台湾行ったけど夜市には行かなかったそう。

晴一さんは路地にあるようなお店で牛肉の麺を食べた。
地元の人が食べるようなもので絶対美味しいはずだったが、そこは不味かった。


ツイート:台湾で美味しかったものは?
晴一:日本の女子がみんな好きな小籠包は美味しいとは思うがそんなに好物ではなくて、肉まんの方が好物でとても美味しい。


ツイート:台湾の言葉で一言。
晴一:(私は新藤晴一です)←台湾語で


ツイート:台湾のファンの印象
晴一:今回はMAYDAYに書いた"Song For you"という曲の落ちサビで昭仁が中国語で歌った。そこの反応が印象に残った。
昭仁は「こんにちは!」「盛り上がってますか!」「元気ですか!」を繰り返してた。彼の頑張りは認めるが、途中から日本語がカタコトになっていた。
でもMCって大変だね。バカにしちゃいかん。

晴一さんはPerfume方式で現地の人に通訳してもらった。

3曲目"渦"



カープ話



ペナントレースが開幕。

去年ほどの圧倒的な強さはないが、開幕カードを2勝1敗で行けたことは大事。
オールスターまで勝ち越すことが重要。

(例によってカープ話まったく分からず)


4曲目"黄昏ロマンス"


ツイート:もうね。弾き語りベスト出しましょうよ。
晴一:なにが「もうね」なんだ笑
でもね弾き語りは2人であれこれ出来るので、もっと弾き語りの修行します。


ツイート:しまなみテレビで"黄昏ロマンス"(弾き語り)が聴きたい
晴一:次やるんじゃないかな(遠い目)。


では今週も閉店です。









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2017年4月3日月曜日

【映画】シン・ゴジラのblu-ray/DVDの特典映像集が凄すぎて驚愕した






先日映画「シン・ゴジラ」のBlu-rayを購入した。

映画本編の内容については言うまでもないだろう。
今回は特典映像について書いていく。

まず何より僕はドキュメンタリーが好きなのである。だからこそ、映画とか音楽もメイキングが楽しくて仕方ないのだ。

それが高じて特典映像に関しては特典映像評論家になりたいとすら思っている。
師はピーター・ジャクソンである。

では「シン・ゴジラ」の特典映像を観ていこう。








特典ディスク1




特典ディスク1は映画公開に関する試写会、公開初日舞台挨拶、発声可能上映イベントなどの記録映像集である。

舞台挨拶系は邦画の特典映像につきものであるが、個人的には正直そこまで好きではなかった。
というのも、どの映画のものを観てもテンプレート的な質問と回答、コメントばかりだからだ。
端的に言えば正直なところ、面白くないことが多い。


しかし、今回の「シン・ゴジラ」に関しては別格であった。もしかしたら舞台挨拶系の特典映像でこんなに最初から最後まで楽しんで見れたのは初めてかもしれない。



それだけ「シン・ゴジラ」が特異な撮影であったということだろう。


たとえば女性限定鑑賞会議ではメインキャストではなく松尾諭、市川実日子、塚本晋也、片桐はいりというゲストが登場した。





普通の映画であれば、サブキャラクターのポジションのはずなのに「シン・ゴジラ」に関してはそう見えないのだ。たとえ登場時間があれだけの片桐はいりまでも忘れることはできないキャラクターとなっている。

これほどどのキャラクターを観てもすぐにセリフが思い浮かぶという映画はいつ以来だろうか。


最初の発声可能上映の際に庵野総監督が7分でチケット完売したが、本当は3分切ればガンダムのセリフが言えたのにというのは、


ぜ、全滅?12機のリック・ドムが全滅?3分もたたずにか?…


のことだろう。
そして女性限定観賞会議は3分切って完売したらしい。ゲストで庵野総監督が出てたら聞けたのに。

それにしても特典映像の市川実日子がいちいち可愛すぎるだろう。







特典ディスク2




メイキングともう1つのメインが未公開テイクである。特典映像らしい特典映像はほぼこちらに入っている。

未使用のシーンや、シーンの別アングル映像が収録されている。

印象的なシーンがいくつかある。

まずは矢口が蒲田くん(通称)の爪痕を視察するシーン。
そこで矢口は父親を失った家族を見つめる。

今さら言うまでもないが「シン・ゴジラ」はこういった感傷的なシーンを一切排除している。
こうしてあらためて観るとこういったシーンがあったら、いかに映画の印象が変わったか分かるだろう。


少なくとも僕はこのシーンがなくて良かったと思っている。



そして大杉漣演じる大河内総理の激情シーン。
攻撃失敗を受け露骨なほど感情を露にするのであるが、これもあったらダメだったのではないかなと思うシーンである。

なぜかといえば大河内という人間は最期まで受動的に事を進めているからである。数少ない受動的でない発言は原稿を無視しても「上陸はない」と言い切った記者会見であるが、それすら裏目に出る。


それと未使用テイクにて、しつこいまでの「これで都内の除染に光明が見えます。良かった。」の市川実日子押しで笑ってしまった。どれだけ入れてんだ。最高。


もう1つの白眉がNGシーン集。
普通のNGシーン集って、ミスった時とか現場でみんな笑ったりしてること多いんたけど、それがあまりない。役者間ではあるんだけど、スタッフの笑い声が通常よりもかなり少ない。

それが現場の緊張感を表しているように感じた。

そしてイベントなどでのコメントでも言っていたがミスった時のキャストみんなとても悔しそうな表情もしっかりカメラは捉えている。


ニュース映像の作り込みのこだわりぶりといい「予算遣いきる」という言葉の信憑性が高まる映像集である。

ニュース映像集は配信とかでスピンオフとかで流しても成り立ちそうだ。
予告編とかでも使えそうだなと思った。

ということで、ただでさえ何回観ても面白い本編がさらに面白くなる特典映像集であった。

何をどう観ても元を取れる仕様になっていると思う。

是非映画本編を楽しんだ全ての人に、いや全国民に堪能してもらいたい。







【関連記事】
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彼岸島だらけのシン・ゴジラ(ネタバレ有)










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