2017年1月25日水曜日

【感想】パンドラ ザ・イエロー・モンキーPUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIEを観た






スカパー!にて放送されたTHE YELLOW MONKEYのドキュメンタリー映画「パンドラ ザ・イエロー・モンキー PUNCH DRUNKARD TOUR THE MOVIE」を観た。


昔の映画ではあるが、今年イエモンのドキュメンタリー映画もやるということで僕なりの感想を残しておこうと思う。








40億円の興行成績のツアー



ツアー映像と舞台裏、さらには映画製作に伴い撮影された2013年のインタビューを交えて進められる。


初日の映像ではそれぞれ愛車で会場に乗り付ける菊地兄弟の姿も。

北海道公演からすでに疲労が出てくる。

肉体的な疲労についても深刻となり、アニーさんは腰を痛め、本番以外は椅子に座ってられない程であったとか。
エマさんは膝を痛めたようだ。


そして、9月には香川公演終了直後に吉井和哉は倒れてしまう。


劇中何度も繰り返される113本という異例とも言えるツアー本数。

その本数は、トラウマというフジロックの第1回の影響があった。

外タレ(海外バンド)との差はツアーの本数の差だということを痛感したというのもあったという。

印象的なシーンに吉井さんが本番中でありながらMCで「このツアーは失敗だった」と告げるシーンが挙げられるだろう。

間違いなく本心でありながら、果たして観客の前で言って良かったのか。「ロックだから説明しなくてもいい」と言っていたり、今だからこそ、その言葉の真意が分かるけど、当日の観客はどんな気持ちだったのだろうか。


嬉しかったのが武道館ライヴでの"真珠色の革命時代"が流れたことである。本当に大好きな曲だ。

あと面白いなと思ったのが、途中のツアーの興行収入の話。

40億円近い興行があったという。
98~99年のTHE YELLOW MONKEYの経済効果は100億円みたいな話も興味深い。


2013年のインタビューでは、復活を遂げた2016年のメンバーととても近い姿で、この映画のインタビューがあったからこそ2016年を迎えられたのかなとさえ思えた。



ツアーという生き物




僕は海外バンドを見ていて本当に凄いと思っているのが、まさにそのとんでもない数のツアー本数である。


アルバムをリリースしてから、世界中を途方もないほどの日数のツアー日程を回る。その合間にはフェスに出たりしている。


肉体的にもかなりハードであるけれど、何よりメンタルが凄いと思う。


レディオヘッドみたいな変態バンド以外だと多くのバンドはツアーの過程でそこまで大きくセットリストを変化させない。
それでいて、あの本数をこなすのだから、どうやってモチベーションを維持しているのか、いつも不思議で仕方がないものである。


傍目から見れば色んな土地で演奏して美味しい飯と酒を飲めるというのは楽しそうに見えても実際はかなり厳しい部分も多いはずなのだ。

しかし、来てくれる観客にとっては「113本中の○○公演目」なんて関係ない。その公演こそが掛け替えの無い唯一無二のライヴ体験なのだ。


だからこそバンドはアーティストはどんなライヴだって手抜きは許されない。

そんなツアーというものの本質が葛藤の姿がこの映画には描かれていて、僕は胸を打たれてしまった。


もう1点とても考えさせられてしまったのが、要所要所で表示される「あと○○公演」というツアー日程の表記についてである。

関係者がみな「バンドの寿命を縮めたライヴ」という認識でいることを踏まえると、この「あと○○公演」が、バンドの寿命へのカウントダウンでもあった。


これは最近観た「この世界の片隅に」での日付表現がその運命へのカウントダウンであったことに似ている。

ツアー日程を消化していくほど、バンドもメンバーも消耗していく。
さらには掛け替えのないスタッフの事故死があり、メンタルはかなり磨り減っていたものと思われる。


よく表現というものについて「命を削って」と表されるが、まさにそんな姿が体現されている。
バンドも自らの人生も。

とても充実していて興味深く、面白いドキュメンタリーだった。


惜しむらくは、ドキュメントシーンとライヴシーンの音量差が激しかったこと。
インタビューが聴こえづらくて音上げるとライヴでビックリみたいなのが何回かあった。

今年公開されるドキュメンタリー映画も楽しみにしている。














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